オイルの概念を変えたEarth Child

始まりは、ニュージーランド出身で、アメリカで自然療法医として様々な研究活動をしているDr.モーリー・クラークが立ち上げたサプリメントの会社。

Dr.クラークは、赤ちゃんでも利用できるサプリメントをアメリカで初めて作りました。さらに皆の健康的な生活を守る活動の一貫として、環境やライフステージによって揺らいでしまう肌のために、「負担のかからない化粧品を作りたい」と、イチから自社開発したスキンケアブランドです。

「いいオイルってこんなにすごいんだ!」と、美容マニアたちをもうならせているEarth Child。究極にシンプルな成分構成なのに、「肌がモチモチになる」「敏感肌でもしっとり柔らかくなった」などの感想が多く、「オイルの概念が変わる」とファンを増やしています。どんな発想や思いからこのコスメが生まれたのか、ブランドの立ち上げから関わり育ててきたジュリア・チャンさんにお話を伺いました。

―使わせていただいて、とても不思議なテクスチャーと驚くほど乾燥をケアできるオイルだと実感しています。このオイルが一番最初に開発された製品なのでしょうか?

ジュリアさん:いえ、一番初めは妊婦さん向けの“ストレッチマークオイル”でした。というのもその頃私が、モーリー・クラーク博士と一緒に、お子さんの健康を維持するための情報を発信するサイトを作っていまして、必然的にお母さんの健康やケアについての内容も発信していたんです。

―なるほど、お子さんやお母さんへのケアが先にあったんですね。

ジュリアさん:はい、私はサプリメントを介して博士と出会ったのですが、そもそも博士がアメリカで、赤ちゃんでも使えるサプリメントを初めて作られた人なんです。またお子さんの健康情報というのも、肉体面だけでなくメンタル面の健康まで包括してケアを考えるような内容だったのですが、お子さんの健康を考えていくと、結局お母さんの健康状態がどうか、ということにもつながるんですよね。

―そうですよね、初めは物理的につながっているわけですもんね。

ジュリアさん:そう、お母さんの体に摂り入れるものも含めて、安全で安心して使えるものが必要だから、博士はサプリメントを開発する。私たちはそのサポートの一環で、スキンケアを作ろう、という話になりまして、ついつい作っちゃいました(笑)。

―作っちゃった(笑)。そんな気軽なノリとは思えない、よいコスメだと思います。

ジュリアさん:まず妊婦さんの大きな悩みをケアする“ストレッチマークオイル”を作り、次に顔に使うスキンケアを開発しました。本当に肌に必要なものだけで、できるだけ余計なものは入れずに作りたかったんです。そもそも肌って外側からは、水分とオイルしか入りません。ですからまず、与えるオイルとして“フェイシャルオイルパック”を作り、次に水分もとても大事なので、“リバイタルエッセンス”を作りました。

―なるほど。特にオイルは、本当にシンプルな成分構成ですよね。

ジュリアさん:はい。最近新たなスキンケア成分として注目されている、オレンジラフィーオイルと、トコトリエノールというスーパービタミンEの2種類だけです。

―オレンジラフィーというのは果物のオレンジ……?

ジュリアさん:いえ、オレンジラフィーというのは、ニュージーランド近辺に生きている深海魚の名前です(笑)。

―魚なんですか!

ジュリアさん:はい。かなり深海で生きている魚で、この魚が体内に持っているワックスエステルというオイルがメインの成分です。ワックスエステルというのは、人間の肌の皮脂の構成成分の中で、2番目に多い成分なんです。つまり、オレンジラフィーオイルは人間の皮脂とほぼ同じオイルということです。

―だから塗ったときに、なじみ方や浸透がとても速いんですね。

ジュリアさん:そうなんです。説明としては、よく“水のようなオイル”と言っているくらい、サラッとしています。肌が元々持っている成分を足しているだけなので、なじみやすいし保湿力を実感できるんです。

―でも魚のオイルというのは、製品にするのが難しそうな気もしますね。

ジュリアさん:実は難しいです。オレンジラフィーという名前なくらいですから、元々の色は濃いオレンジだし、魚なので匂いもあります。それを特殊な技術で無臭で透明に仕上げているんです。皆さんに「これホントに魚のオイル?」と驚かれますね。

―人間の皮脂と同じ成分なら、赤ちゃんにも妊婦さんにも安心して使えますね。

ジュリアさん:はい。もちろん高齢の方にも使えますし、実は私の母が癌を患ったとき、治療で肌がボロボロに荒れてしまったのですが、このオイルを塗り続けてあげていたら、キレイな肌に戻りました。

―そうなんですね。「敏感肌でも使いやすい」という口コミの声もたくさん見られます。

ジュリアさん:はい。実はヨーロッパでは、オレンジラフィーオイルがアトピー性皮膚炎の人の肌にも効果がある、という研究結果が出ています。「軽度アトピー性皮膚炎、乾燥性敏感肌の改善」が証明されているんです。論文も発表されています。

―それはとても心強い結果ですね。肌が弱い人全員に知ってもらいたいです。

ジュリアさん:そうなんです。肌には本来そんなに色々な成分は必要ではないし、Earth Childのオイルは体中どこにでも使えます。実は肌だけでなく、髪やまつ毛も強くなるというデータも出てるんです。仮に目に入ってしまっても痛くないんです。ただその瞬間は見えづらくはなりますが(笑)。

―オイルというものの見方がちょっと変わりました。

ジュリアさん:日本ではオイルというアイテムは、「ベタつくからイヤ」と敬遠されがちです。ですから日本の方に、もっとオイルというものを知ってもらいたい、という思いが強くあるんです。誰もが年と共に皮脂の量が減っていくので、潤った状態を維持するためにはオイルが絶対に必要なんです。

―このオイルなら、元々あるものを補充するだけ、という感覚になれますもんね。使ってみて、すでに手放せなくなっている人も多いと思います。

ジュリアさん:はい。正直このコスメで多くの利益が出るかといったら、そうではありません。でもすでに、「なくなったら困る」という方がたくさんいらっしゃいますし、こんないいもの、“みんなの友達であるオイル”をなくしてしまうのは、世の中を悲しくしてしまうことだ、もったいなさすぎる、という気持ちが強く、頑張って続けているんです。コレで誰かを助けられるのであれば、誰かひとりでも喜んでくれれば、という思いで作り続けます。

(おわり)

今回取材・執筆をしたのはこの方

ライター 斎藤 真知子

美容、健康、エンタメネタ中心のライター&編集者。編集プロダクションと美容雑誌編集部を経てフリーランスに。かれこれウン10年美容業界の片隅でお仕事中。肌データは、アトピー持ちの(でも現在はほぼ出ない)基本乾燥肌。……なのに寄る年波で部分的な毛穴の開きやテカリ、たるみも気になる。スペインとお肉とオヤジ俳優好き。